喫茶

メイド喫茶多すぎませんか。
気がつけばバイト先の隣のビルにもメイド喫茶ができていました。メイド服のコスプレをした人がビラを配っていました。ふと見回すと、二三件はメイド関係の店が目に入ります。
休日の歩行者天国とかはメイド服を着た人とかで凄いらしいですね。なんかもうおなかいっぱいです。メイド喫茶を否定する気はないのですが、あれは元来メイドが好きな人という非常に狭い層というかコアな層をターゲットとしたものであると思うんですよ。だからテレビとかで変に取り上げられない限り、雨後の竹の子のようにわいてくるわけも無かったはずなのです。現状は明らかに本来の需要を遙かに超えています。
これが何を意味をするかというと、本来ならできていたかもしれない類の喫茶店ができなくなってしまった、と言うことです。メイド喫茶が売れたことからわかることは、こういうオタク的な趣向をピンポイントで狙い打ちするような店が商売になる、と言うことであったはずなのですが、どうも「メイド喫茶」は売れる、というようにしか受け取られていないような気がします。
つまり、あり得たかもしれない「○×喫茶」(○×には好きな言葉を入れよう)は作られたメイド喫茶ブームによりたたきつぶされてしまったわけです。
そして僕のようにメイドにはそれほど思い入れのないオタクは、悲しい思いをしているわけです。
そこでせっかくだから、こういう喫茶はどうかという提案をしていたいと思います。もしメイド喫茶を始めようとしている人がこれを読んで、あれ、こっちの方がいいんじゃない? とか思って貰えると、うれしい。凄いうれしい。絶対いきます。
一回ぐらいは。

司書喫茶。
眼鏡でタイトスカートで長い髪を結い上げているつり目でクールな美人の司書さんがいる喫茶です。中村博文プロデュース。内装はもちろん図書館風。よくある自習用の机みたいな所で飲食します。で、もちろんメニューなんてものはありません。図書館だから。図書館にメニューなんてないし。店の外に自動販売機があって客が外で買って持ち込みます。
店内は無論おしゃべり禁止。図書館だから。おしゃべりなんかしてたら司書さんにすげー怒られるんですよ。で、説教されるわけです。眼鏡の司書さんに。
それどころか店内完全飲食禁止。図書館だから。本が汚れたら困ります。持ち込んだもの食べていたら、もう激怒。超激怒。図書館はものを食べる所じゃありません!! 三十分ぐらい説教。おちおちお茶も飲めない。ケーキなんてもってのほか。
という喫茶。
何なら書店員喫茶でも可。内装はもちろん本屋。飲食をしていると、店員が走ってきて、申し訳ありません店内での飲食はご遠慮ください、とか言ってくるの。書店員が。書店員喫茶だと、司書喫茶だと不可能だったどじっ子が許されるので、少しは一般的じゃないかなと思います。

という感じのオタク向け喫茶店どうですか。話題にはなるんじゃないでしょうか。世の中にいるお金の余ってしょうがない人のうち一人ぐらいは興味持ちませんか。

ある日、爆弾がおちてきて

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

古橋秀之の新刊が出ていたので、発売日に購入しました。電撃hpに連載していた短編+書き下ろし短編一つの短編集。内容はどれも、ボーイ・ミーツ・ガールの基本形に一ひねりした設定を加えた話になっています。
イーガン好きとしては出席番号0番が気になったりもするのですが、あまりSFSFした話ではありません。僕としては残念ながら。とはいえどれも一ひねりがいい感じなのであきさせません。表紙に引かずに読んでも損はないと思います。
しかしスペオペの名作、タツモリ家の食卓シリーズの続きが出ることはあるのだろうか。頑張ってはがきでも出したほうがいいのかなあ。

ディアスポラ

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

グレッグ・イーガンの新刊、ようやく読み終わりました。恐ろしい小説でした。小説で扱われている題材自体は、解説にも書いてある通り目新しいものではないのですが、イーガンが扱えばこうも凄まじいものになるのかと思いました。難解さも凄まじいものになってますが。
ソフトウェア化された人間、市民が動作するポリスと呼ばれるコンピュータのなかで、親を持たない市民である<孤児>が精神発生により生まれてから、自意識を持つまでを非常に克明に描いた第一章をはじめ、ポリス市民と肉体人の交流、機械の体を持つグレイズナー中性子バースト、宇宙進出計画<ディアスポラ>、統一理論、想像を絶した地球外生物、と一つ一つで長編がかけそうな位濃い内容をこれでもかという感じで詰め込んでます。
なによりすごいのが、例えば精神発生の過程などを読んでいるとああ、こうしたら確かに自意識を持つソフトウェアを作れそうだなと思わせてしまうところです。普通だったら簡単に流してしまうような部分が、どれも逃げがなくきっちり書かれています(と、思います)。それゆえに難解になっているんでしょうけど。
空間スケールと時間スケールとアイデアの大きさではなかなか類を見ない小説だと思います。ただある程度SFを読みなれた人でないと最初の部分で挫折しかねない感じですが、話の流れを見失わない程度に読み流せば十分楽しめると思います。面白いです。

なんか最近読んだの

2061年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)

2061年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)

楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)

楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF)

クラークばかりです。失われた宇宙の旅2001を除いて、オデッセイシリーズは一応読みました。シリーズ全体としては何でしょう、正直肩透かしですが、これは僕がスケールがでかい物語が好きだからということなんでまあ、要は好みどおりの方向に進まなかったというだけです。でも期待するじゃないですか。2001年や2010年読んでたら。このまま行ったらどこまで話が広がるんだろうって思うじゃないですか。
3001年にしても結末は納得のいく結末だけど、モノリスって、スターチャイルドって、その程度のものだったのか? とかスターゲートはどうなったんだよとか、モノリスメーカーって……とか、思ってしまいました。 確かに作者も各巻ごとに設定が共通なわけではないと書いてはいますが、それは映画の関係とか新たに発見された科学的事実を取り込んだせいとかそういうのを想像していたのですが、わりと根本的(だと僕が勝手に思っていた)な設定も共通していなくて驚きました。いや、スターゲートあったら3001年の物語が成立しなくなるし。
面白いんだけど……。
しかし楽園の泉は最高。名作でした。クラーク得意の工学SFと観念的な話が絶妙な感じでブレンドされています。僕はもともとクラークの観念的な話のほうが好きだったのですが、工学SFもいいなと思いました。これをよんで工学者になったという人がいるのもうなずけます。今度渇きの海とかも読んでみよう。

高度に老化したあのお方の話。

云うまでもなく、アーサー・C・クラークのことです。ビックスリーの他二人、アシモフハインラインが亡くなってもうずいぶん立つというのに、彼だけは死ぬ気配がありません。多分軌道エレベーターが出来るまで、生き残るつもりです。間違いありません。
で、有名な話ですが、アーサー・C・クラークは今スリランカに住んでいます。この前の津波の時も、大丈夫だったというようなコメントを発していたような気もしないでもありません。
私の研究室にスリランカからの留学生の方がいらっしゃるので、アーサー・クラークのことを聞いてみたら、当然の如く知っていました。やはりスリランカでも有名な方のようです。当たり前か。しかも彼がいた大学の名誉総長をなさっているようで、授業とかはしないようですが、卒業式とかになんかするみたい。詳しくは忘れた。
あとは彼が行っているジムにアーサー・クラークも来るようで、車椅子で来るのに卓球しているとか、結構ハイテクな家に住んでいるとか、色々話を聞けて嬉しかったです。
で、スリランカだとSFって読まれているのかと思ったのですが、全然そんなことはなく、変な人に見られるそうな。どこもそんなもんなんでしょうかねー。

インテグラル・ツリー

インテグラル・ツリー (ハヤカワ文庫SF)

インテグラル・ツリー (ハヤカワ文庫SF)

中性子星ヴォイの周囲をめぐる直径数万キロの濃密な大気の輪〈スモーク・リング〉は、奇怪な動植物にあふれた、自由落下状態の楽園だった。なかを漂う巨大な積分記号形の樹"インテグラル・ツリー"では、地球からやってきた播種ラム・シップの乗員の末裔たちが、牧歌的な暮らしを営んでいる。だかそのクィン一族に、いま飢饉の恐怖が忍びよろうとしていた。新たな食料を見つけて一族を救うべく、壮大な旅に出た若者たちが遭遇したものは?ハードSFの巨匠が『リングワールド』にまさるとも劣らぬ魅力的でカラフルな世界をみごとに創造し、ファンを熱狂させた最新SF!ローカス賞受賞。

リングワールドのダイソン環に劣らない壮大な舞台設定。中性子星と惑星がつくるガストーラス、そして潮汐力が支配する奇妙な世界を分かりやすくも説得力のある筆致で書いてます。面白かったです。微妙に地球の長い午後を思い出したり。続編もあるようですが、当然手に入らず。

量子宇宙干渉機

量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)

量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)

ホーガンのわりと新しい作品。多分。ホーガンの著作のなかで、個人的にユートピア物と分類しているタイプの話でした。創世記機械から連綿と続いているタイプのアレです。一番近いのは断絶への航海でしょうか。皆が科学的な倫理観をもてば世界はよりよい物になると言う感じの話です。今回もその辺かなり露骨なので、それに同意できるかどうかで、評価は割と変わるんじゃないでしょうか。僕はあんまし。
SF部分は相変わらず素晴らしかったです。量子力学多世界解釈を扱った小説のなかでは、ダントツのわかりやすさとおもしろさを誇っている感じです。途中までで云えば、宇宙消失以上です。あれ、宇宙消失は多世界解釈じゃないか。よう思い出せませんが、そんな感じです。
読んでそんはないんですが、途中からなんだかなーなんだかなーと思うのはほぼ間違いない気がします。とか思ってたけどアマゾンの評価は高いなあ。とか思ってたら違う作品のレビュー見てた。
しかしホーガンの理想の世界というのは、非常に極端なことをしないと現実化しないというか、絶対現実化しないとホーガン自身が思ってますよね、絶対。断絶への航海は、全く違う惑星で一からやり直しているし、今回のに至っては違う世界だし。そのへんは割と悲観的だなあと思います。創世記機械は、まあ、そうでもないか。