量子宇宙干渉機

量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)

量子宇宙干渉機 (創元SF文庫)

ホーガンのわりと新しい作品。多分。ホーガンの著作のなかで、個人的にユートピア物と分類しているタイプの話でした。創世記機械から連綿と続いているタイプのアレです。一番近いのは断絶への航海でしょうか。皆が科学的な倫理観をもてば世界はよりよい物になると言う感じの話です。今回もその辺かなり露骨なので、それに同意できるかどうかで、評価は割と変わるんじゃないでしょうか。僕はあんまし。
SF部分は相変わらず素晴らしかったです。量子力学多世界解釈を扱った小説のなかでは、ダントツのわかりやすさとおもしろさを誇っている感じです。途中までで云えば、宇宙消失以上です。あれ、宇宙消失は多世界解釈じゃないか。よう思い出せませんが、そんな感じです。
読んでそんはないんですが、途中からなんだかなーなんだかなーと思うのはほぼ間違いない気がします。とか思ってたけどアマゾンの評価は高いなあ。とか思ってたら違う作品のレビュー見てた。
しかしホーガンの理想の世界というのは、非常に極端なことをしないと現実化しないというか、絶対現実化しないとホーガン自身が思ってますよね、絶対。断絶への航海は、全く違う惑星で一からやり直しているし、今回のに至っては違う世界だし。そのへんは割と悲観的だなあと思います。創世記機械は、まあ、そうでもないか。