2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF 243)

2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF 243)

云わずとしれた超有名作品です。SFを知らない人でもこのタイトルだけは知ってます。クラーク? 2001年宇宙の旅の人 あ〜(いや、わかってねーだろ) そんなやりとりをよくします。買ったのは高校時代のような気もしますが、ようやく読みました。
キューブリックの映画はなんというか、言うなれば睡眠導入に最適な一本というか、正直つまらんかったです。いやまあ映像体験と云われる作品を家で見るのはよろしくなかったのかもしれないし、映像が古びてみえたせいもあるのかもしれません。意味不明のラストは眠りをこらえて必死に頑張ってみてこれかよ! という思いを抱いたことを否定しません。ただ映画館で見た友人は名作だ! とかいっていたのでやっぱりテレビで見たのが駄目だったかなあ。そうえいば酔っていたような気もする。
小説版ですが、映画で疑問に思った点はきっちり描かれています。モノリスの正体も、HALが狂ったわけも、スターチャイルドがなんなのかも、小説をよめばすっきり納得のいく答えが得られます。一方で映画の持つ来るべき宇宙時代を可能な限りリアルに描くという側面もしっかり踏襲していて、執拗といえるほど細部に拘った描写が全編を貫いて書かれています。四十年近く前に書かれただけあって、正直時代遅れになってしまっている部分もかなりあるのですが、その拘りようはなかなかのものです。読むのはダルいですが。
映画と小説二つ一セットで鑑賞するとちょうど良い感じに楽しめそうです。
この作品のテーマ、つまり人類を遙かに超越した科学技術をもつ異星人が人類を進化させるというのは同じくラークの幼年期の終わりとも共通しているのですが、2001年のほうはリアルな宇宙旅行描写をするという面が邪魔をして幼年期の終わりほどテーマをしっかりと描けていないような気がします。2010年など続編があるので2001年だけで判断するのは間違っているのかもしれませんが、幼年期の終わりを読んだときにうけた衝撃は、この作品からは感じられませんでした。この作品が名作であることは疑いないのですが、ちょっと肩すかしな感じです。
後三巻しかないわけですし、せっかくだからシリーズ全部読んでみようと思います