サンティアゴ

サンティアゴ―はるかなる未来の叙事詩〈上〉 (創元推理文庫)

サンティアゴ―はるかなる未来の叙事詩〈上〉 (創元推理文庫)

面白いSFが無いと思うならサンティアゴを読むべきだと思う。面白い小説が無いと思うならサンティアゴを読むべきだと思う。
本当に面白いと思った作品の感想は書きづらいですね。思ったことをいくつか書くと、語り口がとにかく格好いい。キャラクターがみんな魅力的。そしてそれらから生まれる期待を裏切らない物語がある。といったところでしょうか。
話は、遙か未来、人間が銀河を股にかけて発展している時代。銀河の辺境で伝説となっている無法者、巨額の賞金を賭けられてなお三十年以上正体を隠し続けている”サンティアゴ”と、彼を追う賞金稼ぎたちの物語。
このストーリーから分かるように、要は宇宙を舞台にした西部劇です。でも無論ただそれだけの凡百なスペースオペラではないことは、読めばきっと分かると思います。
ただ残念なことは、この小説はそんなに有名でないSFの例に漏れず絶版しています。正直オールタイムベスト一位の常連である夏への扉と比べてなんの遜色も無いこの作品が書店で手に入らないと云うのは、非常に残念な事だと思います。最近翻訳SFに力を入れている東京創元社だから、また再版、あるいは訳されていない小説も翻訳してくれるのではないかと期待しているのですが……。多分無理。