しあわせの理由

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

イーガンのしあわせの理由をまた読み返す。
イーガンの小説が好きな理由は、もちろん面白いというのがありますが、設定が僕の理想の世界になっているものが結構大きな理由です。
いや、もちろん放浪者の軌道とか、百光年ダイアリーとかかなりイヤですが、例えば僕になること、ボーダーガード、そしてしあわせの理由とかの世界はかなり憧れます。
恐らくイーガンの小説ほど永遠の命というものを手放しで礼賛している小説は、ほとんど無いのではないかと思います。ボーダーガードの本編の中にも書いてありますが、だいたいは不死人が生に倦んで死に憧れるというのが基本だと思います。
しかしイーガンのSFは無限の資源という舞台を用意しているのもありますが、人が不死であることが当然の世界、そしてその世界が死が存在する世界と比べて何も劣るところがない、ということをきっちり描いているのは僕には新鮮でした。
まあハッキリ言ってしまえば、僕があの不死人になりたいという事です。

もう一つしあわせの理由に関していえば、僕も主人公のようになりたいです。
もちろん主人公と同じ悲惨な人生を歩みたいというのではなく、最終的に主人公がなったように、自分の感情を意識的に操作できるようになりたいということです。
好きになりたい物を好きに設定でき、嫌悪したい物を嫌悪するように出来る。
情熱をかけたい物に情熱をかけるように物理的に出来る。というのは僕の理想です。
人間の感情は物理現象に過ぎないのであれば、物理的に、意識的に操作できるようになりたいのです。自分の感情をよりハッキリと意識の支配下に置きたいという事です。だからといって麻薬とか手を出したいとは思いませんが。
もしそうなれば何も失うことなく、質的に充実した人生を送ることが出来るのではないかと思います。
もう一つ、死を恐れる気持ちを消したいという事をあります。

という要は自分がなりたい姿が、小説内に描かれていると言うのが好きな理由です。